『ずる嘘とごまかしの行動経済学』を一言で表すなら
私たちは「少しだけ『ずる』」をする生き物
です。
著書のダン・アリエリー教授の本が好きなので、「著者買い」で購入しました。
「人はどんなときにずるをしやすくなるのか?」が気になったという理由もあります。
わかりやすい実験で、人がどのような状況でずるをするのかを教えてくれます。
ダイエットや目標達成にもつながる内容もあるので、ぜひ読んでみてください。
それでは『ずる嘘とごまかしの行動経済学』の感想などが気になるあなたはここからお楽しみください。
- 本の書評&感想&簡易要約
- 読むと得する人
- 本が解決する悩み
- 関連本
【読書能力と人物背景】
- 男 26歳
- 大学中退(薬学部)
- 専門学校卒
- 読書量:3〜5冊/月
- 年間:50冊以上
- 読書速度:漫画1冊30分〜1時間未満
- Instagram:過去の読書記録
- 読書速度:漫画1冊30分〜1時間未満
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』の書評&感想&簡易要約
- 難易度
- 驚き
- 想像力拡大
- 実践しやすさ
- テンポのよさ
- わかりやすさ
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』の第7章が面白い
第7章(創造性と不正)が面白かったです。
結論をいうと、「不正直な人は創造性が高い」のです。
なぜ、不正を働く人は創造性が高いのかというと、自分を正当化するための理由を考える能力が高いからです。
人は誰しも、「自分は嘘つきだ」とは思いたくありません。
だから、嘘ではない理由(ダイエット中なのに「今日は仕事を頑張ったご褒美」ということで急遽、お菓子を食べるなど)を考えようとします。
さらに、創造性が高ければ高いほど、グレーゾーンでの不正が増えることがわかりました。
明確な境界線が引かれていないときこそ、不正が起こりやすいのです。
「ルールは破るもの」という言葉を耳にしたことはあるでしょう。
想像力を働かせ、ルールの穴をつく(正当化するための理由を考える)のは、決まって周りと違った人だとは思いませんか。
「創造的な人と仲良くなりたい」、「創造的な人物になりたい」と思ったことはありませんか。
創造性とセットで、不正が起きやすくなる可能性があることを覚えておくと、寛容な振る舞いができるでしょう。
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』の簡易要約
本書では、「人がずるをするケース」をいくつかの実験を通して探っています。
『ずる』についてまとめます。
- 極端な「ずる」は少ないがちょっとの「ずる」は多い
- 他人の利益になることは「ずる」をしやすい
- ちょっとした工夫で「ずる」は減る
人は良心や道徳心があります。
たとえ、ずるをしてもバレない状況でも、完全にずるをする人はごくわずかです。
しかし、ちょっとしたずる(赤信号でも横断歩道を渡る、会社の備品を少しもらう、お釣りを多くもらっても返さないなど)は多くの人が行う可能性を秘めています。
ちょっとの積み重ねで大きな損害を発生させるので、組織を持つ人は注意しておくと良いでしょう。
そして、他人のためならずるをしやすくなります。
「忖度」という言葉をご存知でしょう。
相手の都合のいいように行動してしまうことですね。
自分では行わない行動でも、他人の利益が絡んでくるとたちまちルールを破りやすくなります。
人によっては、この行動をサービスという場合もあります(タクシーの仕事をしているときは、メーターを入れるのを遅らせたりとかね)。
最後にちょっとした工夫で「ずる」を解消する方法があることをお伝えします。
ちょっとした工夫というのは、「宣誓」させたり「最初に記名」させたりすることです。
新人研修や業務前に会社が掲げる決まりを言わされたことはありませんか。
私は、施工管理の新人研修と、タクシー業務をしているときに言わされました。
宣誓させることで、少しの期間は誠実性を保たせることができ、不正を働く割合が減少します。
最初の記名に関しても、同じような効果があります。
テストのとき、先生が「まず名前を書きなさい」というのは、名前の書き忘れで0点になることを防止する以外に、不正防止にも役立っていたことに驚きを隠せません。
きっと先生は不正防止に役立っているなんて知らないでしょうね。
宣誓のために「最後」に名前を記入することはありますが、この行為はほとんど意味をなしていません。
なぜなら、名前を書く頃には不正を終えているからです。
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』のオススメの読み方
身近な問題から読んでいくとスラスラ読めると思うので、第4章から読み進めると良いでしょう。
第4章はダイエットの話題にも触れているので、馴染み深いと思います。
知っている内容が多いと、挫折するリスクも抑えられるので、読了に近づくでしょう。
「読むのが苦手」というなら、第2B章がオススメです。
第2章の派生なので、ページ数も少なく、ゴルフの話題なので読みやすいと思います。
「夫の前妻をマリガンと呼んでいる」という文章を読んだときは、「上手い!」と感心しました(意味がわからない?ぜひ読んでみて!)。
海外の方のジョークは実に面白いですね。
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』が役立つ人
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』が役立つ人を紹介します。
- 目標を持っている人
- 不正をする人の特徴をしたい人
- 「私の周りで紛失物が多いな」と感じている人
- 会社経営をしている人
本書は不正を働きやすい環境を変えるために役立ちます。
人が変わるときは、3つの力が邪魔をしていることをご存知ですか。
「迷っている」「疲れている」「悪い環境」の3つが変わることを阻止します。
まずは、「人がどんなときに『ずる』」をするか知ってください。
その後に、対策を考える(本書の真似をする)と改善に近づくでしょう。
悩み解決に役立つ章
この本を読むことで解決できる悩みと章を紐づけてあります。
目的を持って本を読むことで集中力を保つことができます。
読書習慣を身につけたい時や、本を読むモチベーションが途中でなくなった時は活用してください。
「『ずる』をどうやって調べているの?」
→第1章:(シンプルな合理的犯罪モデル(SMORC)を検証する)
「私が嘘つき?!まさか!だってほら・・・ね」
→第2章:(つじつま合わせ仮説)
「なぜ販売員はいらないものを勧めるのか?」
→第3章:(自分の動機で目が曇る)
「ダイエットや目標達成でうまくいかない・・・。」
→第4章:(なぜ疲れているとしくじるのか)
「偽ブランドが好きな知り合いの特徴とは?」
→第5章:(なぜにせものを身につけるとごまかしをしたくなるのか)
「自分に正直になりたい!」
→第6章:(自分自身を欺く)
「創造性と知性は不正に関係する?」
→第7章:(創造性と不正)
「不正が起きやすい環境はあるのか?」
→第8章:(感染症としての不正行為)
「会社での不正をどうやって防げばいいの?」
→第9章:(協働して行う不正行為)
「不正をまとめて知りたい」
→第10章:(半・楽観的なエンディング)
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』をより深く(関連本)
本書をより詳しく、そして他の知識でさらに理解を深め、創造性を掻き立てる本を紹介します。
『不合理だからうまくいく』(簡易要約あり)
『予想どおりに不合理』
著:ダン・アリエリー
『スタンフォードの自分を変える教室』(簡易要約あり)
著:ケリー・マコグニガル
『元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法』
著:ジャック・シェファー、マーヴィン・カーリンズ
最初にオススメしたい本は、同著者が書いた2冊の本です。
ずる以外にも「人がどんな行動をするのか」を知ることができます。
次に、自分を変える教室です。
こちらは、意志力について書かれている本です。
特に本書の第4章と結びつきが強いので、参考にしてみてください。
最後に、「心を支配する」方法です。
この本は、相手と仲良くなる方法から、嘘を見破る方法まで載っています。
つまり、相手の不正を見破るための質問を投げかけることがあなたにできます。
『ずる嘘とごまかしの行動経済学』をオススメします
少しでも本書に興味を持ってくれると嬉しいです。
行動経済学は、「〇〇だと思ってたけど、実はこっちだったんだ!」という驚きが詰まっています。
本書はずるや不正に関する内容を中心に紹介しています。
他にも、お金にまつわる話や、意思決定に関する内容も行動経済学では取り扱われています。
不正を働きやすい環境を知っておくことで、自己防衛にもつながります。
相手が不正を行ったときも、寛容に対処することもできるでしょう。
面白いのでぜひ読んでみてください。