「センスあるね」「センスないね」という言葉は非常に曖昧だなと感じます。
そもそも、「『センス』とは生まれ持った才能なのか?」問題です。
私は、「センス」は身につける物だと思います。
なぜなら、洋服や運動、美術、仕事によって求められる「センス」が変わるからです。
例えば、洋服なら着こなしや、小物の合わせ方とかで「センス」という言葉が使われるでしょう。
運動なら、初めてでも(それなりに)できてしまう「運動神経」の意味で「センス」が使われます。
仕事なら、「呑み込みが早い」という意味で「センス」が使われるでしょう。
場面によって「センス」の意味が変わるのは不思議ですよね。
この記事では、「センス」の正体を突き止め、「センスあるね」と言われるためには何をしたらいいのかを紹介します。
「センス」=「アナロジー思考」
「センス」は「アナロジー思考」で説明できると思います。
「アナロジー思考」とは「類推思考」ともいい、似ている出来事を結びつける思考のことです。
料理なら、「『カレー』と『肉じゃが』の材料が似てるな」とかです(人参、玉ねぎ、じゃがいもを使用)。
他にも、「会社を辞める人が増えると、社員1人あたりの仕事の負担が増える」ことと、「少子高齢化が進むと、1人あたりの年金負担が増える」は似ていると思いませんか。
異世界転生のアニメなら、過去の記憶と魔法を結びつけ、新しい魔法を生み出したりがアナロジー思考ですね。
オマージュなども似ていると思います。
ここで疑問が生じます、アナロジー思考を身につけるためには何をしたらいいのでしょう?
これからは、アナロジー思考を身につける方法を3つ紹介します。
- 知識の幅
- 人生経験
- 本質の理解
それでは、具体例を交えながら説明していきます。
知識の幅でセンスを磨く
センスを磨くためには、知識の幅を広げる活動は大切です。
例えば、プログラミングの知識のみしか持っていなかったとしましょう。
しかし、使う側の視点や、使う人の心理を知らないとどうなるでしょうか。
余計な操作が増えたり、業務のミスが増えたりと不便だと感じることが増えます。
行政のサービスや、銀行のサービスに使いずらさを感じたことはありませんか。
ここで、プログラミングの知識のほかに、心理学を知っていたらどうなるでしょうか。
ボタンの位置を工夫したり、文章に手を加えてみたり、色合いを変えるなど工夫を施せます。
「送信」ボタンを押したら、「メッセージが送信されました」と出た方が安心しますよね。
知識を広げておくことで、違う視点から考えられるようになります。
Macにいろいろな書体が多い理由は、故スティーブ・ジョブズが大学中退後、カリグラフィー(文字を美しく見せるための手法)の授業を受けたからです。
人生経験がセンスを磨く
センスの幅を広げるためには、人生経験を積むことも大切です。
なぜなら、経験が多い人ほど、共通点を見つける材料が増えるからです。
例えば、クジャクはメスへのアピールに羽を大きく広げます。
羽が大きければ大きいほど魅力的に思われるため、外的に狙われるリスクを持ちながらも羽は大きくなりました。
ここで、「生きていくためには不要でもアピールために何かしているかな?」と考えます。
「お!全身ブランド物で固めて、風を切るように活歩している人がいました!」そうです、クジャクと同じくアピールをしています。
『GRAND SLAM』(著:河野慶)という漫画では、主人公が拳法で学んだ体の動きを野球に応用しています。
テニスで有名なロジャー・フェデラー選手(元男子プロテニス選手)は、いろいろなスポーツを経験してからテニスに本腰を入れました。
本質の理解でセンスを磨く
本質の理解は応用が効くため大切です。
例えば、ダイエットで痩せることを考えてみましょう。
世の中にはいろいろなダイエット方法が溢れています。
しかし、どのようなダイエット法でも痩せるには、「摂取カロリーが消費カロリーを上回らないこと」が本質となります。
ダイエット中にタンパク質を多く食べる理由は、食欲が抑えられ、摂取カロリーが減るからです。
糖質を制限するのは、糖質がカロリーを占める割合が大きいからです。
本質を理解することで、物事の要所(ポイント)がわかり、「センスあるね」と言われやすくなります。
ファッションで例えるなら、シルエット(I・Y・Aライン)のことです。
「センスがない」に疑問を持ったきっかけ
私がこの記事を書こうと思ったきっかけを紹介します。
私は工場で働いていた頃、パレット(大きな板)の上に荷物を載せ、荷物が崩れないようにラップ(サランラップの業務用)を巻いていました。
ラップを巻くときのコツは、ラップを「ピンッ」と張ることです。
しっかり張ることフォークリフトで運ぶとき、荷物の揺れを軽減することができます。
私がラップを巻いたときは、「ピンッ」と張った状態で巻くことができました。
なぜなら、新卒で入った会社でラップを巻く経験をしていたからです。
しかし、同僚は初めてだったのか、ゆるゆるに巻いていました。
それを見た先輩が「センスないな」と言っていたことを今でも覚えてます。
ただ経験の差なのに、「センスない」で片付けてしまうことがどうにも疑問でした。
そこで私は、「『センス』というのは、生まれ持った才能よりも、『経験』や『知識』、『視点の違い』が関わっているのかも?」と考えるようになりました。
今でも、「センス」は人生経験の差程度にしか思っていません。
だから私は、学べばセンスが磨かれ、学ばなければセンスは磨かれないと思っています。
センスが「ない」から「ある」になるために
「センスがある」と言われたいなら、まずはその分野について調べてみましょう。
そして、いろいろな視点から物事を見てみましょう。
「どんなところが似ているのか?」、反対に「どんなところが違うのか?」と考えてみてください。
ファッションやヘアスタイル、絵画など芸術色が強い業界では、「〇〇な服装をしているのは、□□が理由かもしれない」と仮定を立てるだけでも構いません。
なぜなら、仮定を立てることで類似性を見つけやすくなるからです。
他にも、「センスがある」言われている人を真似してみるのもおすすめです。
「センスがある」人はどのような箇所を意識し、何をみているのかを学ぶことができます。
仕事で成果が出ている人に、「どんなところを意識していますか?」効くだけでも自分との違いを知れます。
「学んで、体験して、思い出して、共通点を探す」これらを続けていれば、自ずと「センスあるね」と言われる人に変わっていくでしょう。
参考図書
RANGE
著:デイビッド・エプスタイン
GRAND SLAM
著:河野慶
科学者たちが語る食欲
著:デイヴィッド・ローベンハイマー
著:スティーブン・J・シンプソン